別冊クリナリオ|イタリアの食材とワイン 池田美幸













オリーブの木を植える

イタリア料理に欠かせないものの一つにオリーブ、そしてオリーブオイルがある。

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オリーブの木が好むのは、温暖で乾燥した気候・・・
だから北海道と同じくらいの緯度の北イタリアは、本来オリーブの木が育つのには適した気候ではない。

とは言ってもミラノの東150キロほどのところにあるガルダ湖の近くでは、湖の温暖な気候のお陰で、上品でデリケートな味わいのオリーブオイルが取れることで知られる。

ラッキーなことに、私が住むミラノのマンションの下の住人が3年ほど前にオリーブの木を一本植えた。

どうせ大きくなんかなるものか、とせせら笑っていた私を見事裏切り、そのオリーブの木は、昨年の秋、鈴なりの実をつけたのである。

持主は、植えただけで満足。たまに水をやるだけ・・・
食い意地の張った私がそれをほっておく手はない!

オリーブを収穫する

11月も半ば、意を決して(?)、人目を忍び、オリーブの木の下に潜り込む。なるべく熟していそうな実を選ぶ。あっという間に持って行ったザルがいっぱいになった。

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オリーブにはいろいろな種類があるが、これは実の大きさで言ったら、とっても小粒。
オリーブの実は最初は緑色、そしてだんだん紫色、そして黒色に変わっていく。

収穫したばかりの実はそのまま食べたら苦くて、口がひん曲がりそう・・・
それを流し水の下で洗い、その後10日ぐらいかけて水に浸し、時々水を替えながらアク抜きする。その後8%前後の割合の塩水に漬け、1か月。塩の量を半分に減らした塩水に漬け3カ月。

出来上がったオリーブの塩漬け・・・保存剤も着色料も入ってない手作りのイタリアの味!!
それまでは、瓶詰のオリーブは、火が通っているのだと思っていた私。


オリーブの実から作る

イタリアには、大きなオリーブの実で作るでとても有名な郷土料理がある。

中部イタリア、マルケ州の伝統料理で、オリーヴェ・アスコラーネと呼ばれる。後引き豆みたいで、食べ始めたらやめられなくなってしまうこの一品。種を抜き、そこに肉ベースの中身を詰め、揚げるという大変手がかかる料理。

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どうやってオリーブオイルが作られるかもおおざっぱにお伝えしよう。

収穫した実は、葉や小枝を取り除き、水で洗う。機械で種ごと潰し、ペースト状にしたものをこねあげ、液体にする。液体に含まれている水分を取り除いたものが、最高級のエキストラ・バージン・オイルである。

ちなみにエキストラ・バージン・オイルと呼ぶには、酸度が0,8%以下でなければいけない。収穫したオリーブの実にとって、最大の敵は酸化であるから、空気に触れる時間を極力減らすために、収穫したら即時に作業にかかることが望ましい。

オリーブを楽しむ

エキストラ・バージン・オイルは素晴らしい自然食品である。一方、ピュアオイルやオリーブオイルと名乗るものには、溶剤等の化学的な手が加えられている。だから熱を加えずに使うときには、贅沢かもしれないけど、エキストラ・バージン・オイルをお勧めする。

スライスしたパンに塩とエキストラ・バージン・オイル、そこに小さくカットしたトマトとバジル、好みによってガーリックをなすりつけるのもよし。
塩漬けにしたオリーブはそのまま前菜代わりに食べるのもよし。

合わせるワインは白いスパークリングワイン、プロセッコ・ディ・ヴァルドッビアーデネ、さもなければガルダ湖の東側で作られるピンク色が魅力的なスパークリングワイン、バルドリーノ・キアレット・スプマンテ。
暑い夏にシンプルな料理に、すっきりしたスパークリングワイン。

我が家のテラスでオリーブをほおばりながら、白い可愛い花をいっぱいつけたオリーブの木を見下ろす私。

今年も作るぞ、オリーブの塩漬け!


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池田美幸 いけだみゆき
通訳者、翻訳者。イタリアミラノ在住。
イタリアに留学、イタリアの食文化を学ぶ。その後、イタリアでソムリエ、オフィシャルテースター、チーズテースターなどの資格を取得。現在、食・ワインに関わるコーディネート、通訳、翻訳を行う。
本誌「ワイン翻訳」でもおなじみである。