別冊クリナリオ|イタリアの食材とワイン 池田美幸











南イタリア プーリア州を主な産地とするが
イタリア中どこでも、手頃な値段で手に入るチーマ・ディ・ラーパ
パスタとあえて、白ワインを用意しよう
気取らずに味わってほしいイタリアの冬の代表的食材




チーマ・ディ・ラーパ

今回は、ちょうど今が一番美味しい野菜、チーマ・ディ・ラーパを紹介しよう。


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これは、11月下旬から3月末ごろまで出回る冬野菜で、産地は南イタリアのプーリア州が知られている。

見た目は食用の菜の花、あるいは大根の葉に似ている。
イタリア名を直訳すると、“カブの先端”になる。

学名はBrassica Rapa
日本のカブや菜の花、からし菜等と同じ仲間である。

イタリアでは、産地から離れるとなかなか出会えない食材が多いのに、これは時期になれば、イタリア中どこでも、それも手頃な値段で簡単に手に入る。

1キロ1ユーロ(約140円)前後。1キロと言っても見当がつかないかもしれないが、1キロあれば4人で堪能できる。

湯がくと、菜の花と同じ甘みがあり、そこに独特の苦みと芳香を感じるのが特徴である。

出始めは、やたら葉と茎ばかりが目につくが、1月になると、菜の花と同じようなつぼみがつく。人気があるのは、やはりこのつぼみ付き。

葉がすぐ黄ばんでくるので、買ったら早めに食べたい。



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パスタ料理

一番オーソドックスな調理法は、パスタとあえて食べる方法。

プーリア州の有名なパスタ、オレッキエッテ(耳たぶの形のパスタ)やカヴァテッリがよく使われる。

パスタを茹でるために用意した熱湯に塩を加え、まず、ざく切りにしたこのチーマ・ディ・ラーパを加えてしんなりするまで火を通して、そこにパスタを加え、一緒にゆで上げる。

お鍋が一つで済むから楽だし、チーマ・ディ・ラーパの旨味がパスタにしみて、より素晴らしい味わいになる。一石二鳥ってもんだ!

同時にフライパンで用意した、ニンニクとアンチョビー、好みで鷹の爪も加えて熱したオリーブオイルに、ゆで上げたパスタとチーマ・ディ・ラーパを加え出来上がり。

上品に、じゃなくて、ぱくつきたい素朴なおふくろの味。

乾燥ソラマメを戻して作ったピューレにこのチーマ・ディ・ラーパを付け合わせとして添えるのも、プーリア州の代表的な料理である。

又、茹でて、サルチッチャ(豚の腸詰)と鷹の爪とニンニクと一緒に炒めてメイン、あるいは付け合わせとしてもいい。


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トレッビアーノが似合う

チーマ・ディ・ラーパであえたパスタには、白いワインが良く合う。
シンプルで、酸がイキイキとしたワインなら最高である。

木の樽を使って作ったような高級なワインは不向きである。
この野菜ならではの苦みもあるから、タンニンを多く含む赤ワインも相応しくない。

大量生産ではなく、心をこめて作ったTrebbiano(トレッビアーノ)

日本でも1500円前後で手にできるこのワインで、気取らずに味わってほしいイタリアの冬の代表的な食材である。













池田美幸 いけだみゆき
通訳者、翻訳者。イタリアミラノ在住。
イタリアに留学、イタリアの食文化を学ぶ。その後、イタリアでソムリエ、オフィシャルテースター、チーズテースターなどの資格を取得。現在、食・ワインに関わるコーディネート、通訳、翻訳を行う。
本誌「ワイン翻訳」でもおなじみである。